向き不向き

今の会社は向いていない。

4月1日からずっと頭の片隅で、いつ辞めるかを考えている。

 

自分以外が共有する「普通」の乱暴さに、揉みくちゃにされて疲れ切っている。

一年くらい働けばそれなりに楽しくなるかもしれないと思っていた。


他の部署に配属された同期たちはキャパオーバーなほどの仕事を与えられている。

それなのに、俺はほとんど仕事を任されない。 頼まれる仕事も簡単なことばかりで数分で終わって、すぐ暇になる。

このままじゃダメだと思って、先輩に「手伝えることはありませんか?」と尋ねる。 上司には「〇〇の仕事をしてみたいです。」「△△の案件があれば、自分にやらせてください。」なんて、思ってもない意欲を見せている。

先輩や上司からの評価は「頼んだ仕事をすぐにこなす。積極性もある。理解力も高い。」なんて良いように言われてるが、信用できない。

だって、一番忙しい部署にいるのに仕事がないんだもん。

 


他の同期との違いを考えてみる。

一つ、自分の愛想が悪い。 職場では愛想笑いが猛威を振るっている。忌々しい。

あぁ、泉まくらの『春に』の一節を思い出す。 「上手くやれれば取れる一番も 嘘つきたくない私の意志だと 胸張れないのはどうしてだろう?」

 

一つ、自分の体裁が異質。 会社の同期の構成は、高卒と高専卒が2/3、大卒・院卒が1/3 ほぼ全員が地元の学生だ。 逆に言えば、Uターンや他の地方の人が就職する会社ではない。専門性も必要ない。

東京でそれなりの大学に通い、技術系のアルバイトをしていた自分が、理由なく入社したことは異質らしい。 躁鬱とASD、気色悪い外見による浮世離れした雰囲気が、周りの感じる違和感に拍車をかける。

職場の上司からは 「やわ君はうちの会社に向いてないな。」 「これが分かるようなら、もっと上のステータスにいるよ。(侮蔑)」

陰で同期からは 「やわって院卒っぽくない(アホの意)」 「あいつは、なんでうちの会社に来たんだろうな?(厄介者扱い)」

なんて言われている。

 

一つ、周りに馴染めてない。 言われっぱなしだけど、俺もムカついていることはある。

まず、排他的な雰囲気が嫌い。 たとえば、内定式の同じテーブルでの会話。 俺だけ故郷が違うと分かってて、地元の人しか分からないジモトークを延々としてんな。

そして、話題が幼稚でつまらない。 家族や友達の自慢、ヤンチャアピール、恋愛、マッチングアプリ、風俗、野球、パチンコ。 地元に残るマイルドヤンキーたちの洗礼を浴びた。

あと、品性がない。 「ダチや彼女に義理立てる俺カッコイイだろ」って語るくせに、燃えるゴミを自販機用のごみ箱に突っ込んだり、ポイ捨てしてるの気色悪いわ。 あと、ダチなら何でも擁護するじゃん。 そのダチが赤の他人を傷つけても、お前らが気持ち良ければいいのかよ。

などなど。

 

 

つまり、自分が普通じゃないことが悪い。 この街の準拠集団の規範を拒む自分に問題がある。

自分の能力に需要がない。そして、受容されない。

 


毎日、暇と退屈に耐えながら時間が過ぎるのを待っている。

6限が終わるのを待っていた中学生の頃から変わっていない。

 

社会人になってなりふり構わず働けば、天命を知ることができる。 そんな仕事への期待は、色褪せて草臥れてしまった。

 

最後に、友人たちへの愚痴。 俺の就職先を聞いて「いい会社じゃん!」なんて言うのはやめてくれ。 君たちのいる場所が遠くなってしまったと思ってた自分がバカみたいだろう? 本当はずっと昔から同じ月を見ていなかったのかな。

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